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2025年11月19日、エヌビディア(NVIDIA)が2026年度第3四半期の決算を発表しました。
売上は570億6百万ドルと、前年同期比で大きく伸びました。
とくにAIデータセンター向けが全体の9割近くを占めています。
なぜここまで伸びたのか、そして株価にはどう影響するのか。
この記事では、投資初心者にも分かりやすく決算内容を整理し、今後の投資判断のヒントをまとめます。
筆者メモ:私はNVIDIAの決算とAI市場を数年単位で追いかけています。
しかし専門用語が多いと挫折しやすいと感じます。
だからこそ本記事では、数字と背景をつなげて「だから何か」が分かる構成を意識します。
2026年度第3四半期決算の全体像
まずは今回決算の全体像を整理します。
エヌビディアの2026年度第3四半期(2025年8〜10月期)の売上高は570億6百万ドルでした。
前年同期比ではおよそ62%増加、前四半期比でも2割超の伸びです。
純利益は319億1百万ドルとこちらも65%増とされています。
事業別ではデータセンター分野が512億ドルと主役です。
売上構成の9割近くをAIデータセンター関連が占める形になりました。
一方で、ゲーミングやプロフェッショナルビジュアライゼーションは横ばいから緩やかな成長にとどまります。
そのため「AI企業への変貌」が数字の上でもはっきりした四半期だと私は考えます。
ガイダンスも強気です。
次の四半期売上は650億ドル±2%、GAAP粗利率はおよそ74.8%と会社側は見込んでいます。
これはAIインフラ需要がまだピークアウトしていないという経営陣の自信の表れです。
出典:NVIDIA決算リリース(2025年11月19日)
AI半導体決算を読むための用語とセグメント
次に、決算書でよく出てくる用語を簡単に整理します。
まずGPUとは画像処理用のプロセッサですが、現在はAIの計算エンジンとして使われています。
CUDAはNVIDIA独自の開発基盤で、AIモデルをGPU上で動かすための土台です。
今回の決算で重要なセグメントは大きく三つです。
ひとつ目がクラウド事業者や企業向けのデータセンター。
二つ目がゲーム向けGPUを中心とするGaming。
三つ目が自動運転や車載向けのAutomotiveです。
データセンターは生成AIや大規模言語モデルのトレーニング用途が中心です。
GamingはGeForceなどPC向けGPUが軸となります。
Automotiveは自動運転コンピュータ「DRIVE」や車内インフォテインメント向けチップが含まれます。
こうした構造を知っておくと、どのセグメントが将来の成長エンジンなのか見えやすくなります。
前回の第2四半期決算を詳しく整理した記事もあります。
最新の数字と合わせて流れを追いたい方は、こちらも参考になるでしょう。
「NVIDIAの決算書を読む|2026年度第2四半期の全貌とAI事業分析」
収益構造の変化とデータセンターの一極集中
ここからは数字に踏み込みます。
データセンター売上は512億ドルで、前年同期比66%増という非常に強い伸びでした。
一方でゲーミングの売上は依然として大きいものの、全体に占める比率は低下傾向です。
下の表は、今回公表された数字と前年同期の比較です。
| 期間 | 売上高(百万ドル) | 純利益(百万ドル) |
|---|---|---|
| 2026年度第3四半期 | 57,006 | 31,910 |
| 2025年度第3四半期 | 35,082 | 19,309 |
傾向:売上と利益がともに6割前後の成長です。とくにデータセンター部門の寄与が大きい決算でした。
このような構造を見ると、NVIDIA株を考えるうえでは「AIデータセンターの成長性」をどう見るかが最重要だと分かります。
私は、売上の集中は強みである一方、特定市場への依存というリスクも同時に高めると考えます。
そのため、後ほどリスク要因の章でこの点も整理します。
AIサーバー市場全体におけるNVIDIAのシェアを知りたい場合は、別記事で詳しくまとめています。
「AIサーバー市場のNVIDIA支配力|2020〜2025徹底分析」
をあわせて読むと、今回の決算の重みがより立体的に見えるはずです。
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市場環境と今期決算の位置づけ
では、この決算を広い市場環境の中で見てみます。
世界のAI半導体市場やデータセンター投資は、年率二桁成長が続いていると言われます。
とくに生成AIや大規模言語モデルのブームが、その追い風になっています。
一方で、米中摩擦や各国の半導体支援政策も大きな要因です。
米国のCHIPS法などを通じて、サーバーやAIインフラへの投資は長期テーマになりつつあります。
だからこそNVIDIAのような「AIインフラのコア企業」は、指数全体を左右する存在になりました。
出典:Reuters(2025年11月19日)
それでも投資家の不安がゼロになったわけではありません。
「AIバブルではないか」という声も根強くあります。
実際、決算後には一時的な株価調整が起こる場面も報じられました。
私は、このような揺れを前提にしつつ、中長期の需要トレンドをどう評価するかが重要だと感じます。
GPUだけではない技術戦略:CPUとネットワークも鍵
決算は数字の話が中心になりがちです。
しかし、NVIDIAの本質は「GPUの会社」という一言では説明しきれません。
今回の決算説明や関連資料でも、CPUやネットワーク製品への言及が増えています。
まずCPUでは、Armベースの「Grace CPU」や、GPUと組み合わせた「Grace Hopper」プラットフォームが語られています。
これにより、GPUだけでなくCPUとメモリを含めたシステム全体の最適化を狙っています。
さらに、データセンター内のネットワークでは、InfiniBandやイーサネットスイッチ「Spectrum」シリーズを通じて、ネットワーク全体を自社製品で固める構想もあります。
なぜここまで領域を広げるのか。
理由はシンプルで、AIインフラでは「計算」「メモリ」「ネットワーク」がすべてボトルネックになるからです。
だからNVIDIAはGPU単体ではなく、AI工場全体の設計者になろうとしています。
このあたりはAI工場構想を扱った別記事も参考になるでしょう。
「NVIDIAのAI工場構想とは?次世代半導体産業の中核を解説」
さらに、ソフトウェアではCUDAやTensorRT、Omniverse、NVIDIA NIMなどエコシステムを拡大しています。
決算カンファレンスコールでも「フルスタック戦略」が繰り返し強調されました。
出典:Investopedia 決算ライブカバレッジ(2025年11月)
リスク要因:輸出規制・電力問題・AIバブル懸念
ここからはリスク要因も冷静に見ておきます。
まず大きいのが米中対立に伴う輸出規制です。
高性能GPUの対中輸出が制限され、中国向け売上の伸びにはブレーキがかかっています。
決算レビューでも、中国向け出荷に関するコメントが注目されました。
出典:CBS News(2025年11月)
次に、データセンターの電力と環境負荷の問題です。
AIサーバーは電力消費が大きく、各国で電力インフラの逼迫が話題になっています。
NVIDIAは新アーキテクチャBlackwellで「前世代比10倍の効率」を掲げていますが、それでも世界全体の電力需要は増えます。
ESG投資の観点では、この点をどう評価するかが今後の論点になるでしょう。
そして三つ目が「AIバブル」懸念です。
決算では好調な数字が並びましたが、市場では期待が先行しやすい局面です。
私は、NVIDIA単体の成長力は高いと考える一方で、株価が過度に将来を織り込み過ぎていないかを常に確認する必要があると感じます。
このテーマは別記事
「AIバブル再来か?エヌビディア株の実力を徹底検証【2025年版】」
でも詳しく扱っています。
将来見通しと個人投資家が押さえたいポイント
最後に、今回の決算を踏まえた将来見通しと投資スタンスをまとめます。
NVIDIAはAIデータセンター需要を背景に、売上と利益を大きく伸ばしました。
Blackwellや次世代のRubinなど、今後数年分の製品ロードマップもすでに提示されています。
一方で、米中摩擦や電力問題、競合の追い上げなど不確実性も存在します。
だからこそ、数字だけでなく背景となる社会・経済要因をセットで理解することが重要です。
私は、長期ではAIインフラ需要の拡大が続くと見ています。
しかし短期的な株価の上下には備えつつ、時間分散やNISAなどを活用した計画的な投資が合っていると考えます。
より広い視点でエヌビディア株の位置づけを整理したい方には、
「エヌビディア株価分析2025|AIブーム後の成長性と投資判断」
もおすすめです。
また、長期目線での投資スタンスを知りたい場合は、
「エヌビディアは長期投資に向く?配当と成長性を徹底分析」
をあわせて読むと理解が深まります。
このように、今回の決算は「AIインフラ企業としてのNVIDIA」がさらに一段進んだことを示す内容でした。
数字と背景をセットで押さえながら、ご自身のリスク許容度に合わせて投資判断に活かしてみてください。
よくある質問(FAQ)
NVIDIA株は今買うべきですか?
短期では値動きが大きい可能性がありますが、中長期ではAIインフラ需要が続くと見られています。
ただし、株価には期待が織り込まれている面もあり、時間分散やNISAを使う判断が有効だと考えられます。
今回の決算で一番強かったのはどの事業ですか?
最も強かったのはデータセンター事業で、売上は512億ドル、前年同期比+66%でした。
AIモデルの学習・推論需要が引き続き追い風となっています。
AIバブルの心配はありますか?
市場ではAIバブル懸念が残っています。
ただし、NVIDIAは受注残や次世代GPUの計画が着実で、構造的な成長が続く可能性があります。
短期と長期を分けて考えることが重要です。