米国時間(ET)で2025年9月28日(日)〜10月4日(土)に報じられたNVIDIA関連ニュースをまとめた。今週は、UAE向けAIチップ契約の停滞が注目を集めた一方、ロボティクス分野での新発表やクラウド事業拡大も見られた。AI・半導体市場全体が転換点を迎える中、NVIDIAの株価動向を整理し、今後の見通しを読み解く。
今週の注目NVIDIAニュース7選
① UAE向けAIチップ大型枠組みが停滞(WSJ報道)
トランプ政権期に合意したUAE向けの大型契約が、政治的・規制的要因により停滞。ジェンスン・フアンCEOや米政府関係者の不満も伝えられ、出荷と収益認識の後ズレ懸念が浮上。
出典:Reuters(WSJ要旨)
影響度:強 / 方向:中立
② Newton・Isaac GR00T・Cosmos発表でロボ研究加速
NVIDIAはロボティクス研究支援の新エコシステムを発表。物理エンジン「Newton」、基盤モデル「Isaac GR00T N1.6」、環境シミュレーター「Cosmos」で、自動化技術の開発速度を高める。長期的には産業領域のGPU需要を押し上げる可能性。
出典:NVIDIA IR Press Release
影響度:中 / 方向:上昇
③ GeForce NOW 10月更新:新作17本をクラウド追加
10月の提供ラインアップを公開。『Cyberpunk 2077』など人気タイトルを含む17本を追加し、ユーザー継続率と課金率の向上を狙う。
出典:NVIDIA Blog
影響度:弱 / 方向:上昇
④ NVIDIA AI Day Tokyo:日本のAI需要320倍拡大を予測
2030年までに日本のAI需要が320倍に拡大する見通しを発表。国内のデータセンター整備が急速に進むとの見立てで、日本市場を重視する姿勢を鮮明にした。
出典:NVIDIA Newsroom
影響度:弱 / 方向:上昇
⑤ 四半期配当 $0.01 を実施
FY26第2四半期決算時に発表された配当支払が実行された。金額影響は小さいものの、安定的な株主還元の継続が確認された。
出典:NVIDIA IR 決算リリース
影響度:弱 / 方向:中立
⑥ Meta×CoreWeaveが142億ドルのクラウド契約(競合波及)
MetaはCoreWeaveと2031年までの長期クラウド契約を締結。AI投資拡大を裏づける一方で、NVIDIAの直販比率に調整圧力がかかる可能性。
出典:DataCenterDynamics
影響度:中 / 方向:中立
⑦ 中国市場の国産GPU台頭(FT分析)
フィナンシャル・タイムズは、Huaweiなど中国勢の自国製GPUが急速に存在感を増していると報道。制裁下での自立が進めば、NVIDIAの中長期シェアに影響を与える恐れ。
出典:Financial Times
影響度:中 / 方向:下落
今週の株価反応と市場の評価
NVIDIA株は週初に上昇するも、UAE契約の報道で上値を抑えられた。終値は前週比ほぼ横ばいの約$180。ロボティクス関連への期待は高いが、規制と地政学リスクが重石となった。市場では「成長性と懸念がせめぎ合う均衡状態」との声が多い。
ポジティブ材料の深掘り分析
Isaac GR00TやNewtonの登場は、自動化・物流・製造・医療といった分野にGPU活用を広げる可能性を示す。生成AI依存から脱却し、リアル空間でのAI応用を狙う戦略だ。また、日本市場の需要拡大予測は、地域的分散と売上構造の安定化につながる。関連技術はBlackwellチップの解説も参照。
ネガティブ材料とリスク要因
最大のリスクはUAE契約停滞に伴う出荷遅延と、対中規制の不確実性だ。加えて、Huaweiなど国産GPU勢が加速度的にシェアを奪えば、価格競争が激化する恐れもある。生産ではTSMCへの依存が続き、地政学の影響を受けやすい。背景はTSMC依存の構造分析を参照。
過去の株価推移
過去1年でNVIDIA株は約+95%と高水準を維持。AIバブル期の過熱後も一定の値固めが進んでいる。直近3か月は調整基調にあり、需給と材料次第で上下に振れやすい局面が続く。推移の詳細は株価チャート解説を確認。
株価見通し|短期・中期・長期で比較
期間 | 予想レンジ | 根拠・コメント |
---|---|---|
短期(1〜4週) | $170〜$195 | 規制報道とイベント期待が交錯し、レンジ内推移を想定。 |
中期(3〜6か月) | $165〜$220 | AI需要と新製品循環が支え。決算が焦点。 |
長期(1〜2年) | $160〜$260 | データセンター成長とBlackwell普及を織り込みつつ、規制リスクも考慮。 |
今後の注目イベント・日程
- 2025年11月中旬:FY26第3四半期決算(予定)
- 2025年11月下旬:SuperComputing 2025(SC25)関連発表見込み
- 2025年12月:Rubinアーキテクチャ続報の可能性
まとめ
今週は、UAE契約遅延というマイナス材料と、ロボティクス分野の成長期待が拮抗した。全体としては「中立〜やや強気」な評価が妥当だろう。次週以降はAIインフラ投資と規制進展の動向が焦点となる。先週の動向はこちらを参照。
(※本記事は投資助言ではありません)
よくある質問(FAQ)
Q1:今週で最も株価に影響した材料は?
UAE契約停滞の報道。収益認識の遅れが懸念され、短期的な投資心理を冷やした。ただし実需は維持されている。
Q2:ロボティクス基盤の発表はどの程度の効果?
短期の収益貢献は限定的だが、長期では自動化や製造AIの裾野を広げ、GPU販売を底上げする可能性がある。
Q3:現時点の株価予想レンジの前提は?
現値(約$180)を基点とし、イベント・規制・決算などの振れ幅を考慮。上振れにはAI投資継続、下振れには規制強化が影響する。